平成23年12月2日に国税通則法等が改正され、調査手続の透明性及び納税者の方の予見可能性を高める等の観点から、税務調査手続等を法律上明確化するなどの措置が講じられています。
今回の改正により法定化された税務調査手続については、原則として、平成25年1月1日以後に開始する調査から適用されますが、従来の調査手続からの主な変更点(ゴシック体)など、ご留意いただきたい事項は以下のとおりです。
1 事前通知
実地の調査を行う場合には、原則として、あらかじめ電話等により、法令上の事前通知であることを明示した上で、法定化された事前通知事項を納税義務者と税務代理人の双方に直接通知します。
その際、納税義務者の方から「事前通知事項の詳細については、税務代理人の方を通じて通知を受けることで差し支えない旨」の申立てがあった場合は、納税義務者の方に対しては「実地の調査を行う旨」のみを通知します。
この場合には、税務代理人の方から納税義務者の方へ、事前通知事項の詳細を確実にお伝えいただくようお願いします。
2 提出物件の留置き
提出物件の留置き(預かり)は、従来どおり、質問検査等の相手方となる方の理解と協力の下、その承諾を得て行います。
この留置きに当たっては「預り証」を直接交付(交付送達)しますが、その際には、交付送達の手続として、交付送達を行った旨を記載した書面に署名・押印をお願いすることとなります。
(注) 「預り証」と引き換えに留め置いた提出物件を返還する際は、従来どおり「預り証」に署名・押印をお願いすることとなります。
3 調査結果の内容説明
国税に関する調査の結果、更正決定等をすべきと認める場合には、納税義務者の方に、更正決定等をすべきと認めた額及びその理由を含めた調査結果の内容を説明します。
なお、説明に当たっては、法令上の「調査結果の内容の説明」であることを明示した上で、原則として口頭で説明します。
また、併せて、当該調査結果の内容説明をもって原則として一連の調査手続が終了する旨を説明します。
4 税務代理人への調査結果の内容説明
調査結果の内容説明は、原則として納税義務者の方に行いますが、納税義務者の方の同意がある場合には、納税義務者の方に代えて、税務代理人の方に調査結果の内容説明を行います。
この場合において、納税義務者の方の同意の有無については、納税義務者の方に直接同意の事実を確認する方法、又は税務代理人の方を通じて同意の事実を証する書面の提出を求める方法のいずれかにより、確認させていただきます。
なお、実地の調査以外の調査において、上記の方法により納税義務者の方の同意の意思を確認することが困難な場合には、税務代理人の方から調査結果の内容の説明を受けることについて委嘱されている旨の申立てがあることをもって、税務代理人の方に調査結果の内容説明を行います。
(注) 以下の5、6に掲げる手続についても、納税義務者の方の同意がある場合には、納税義務者の方に代えて、税務代理人の方にそれぞれの手続を行います。
5 修正申告等の勧奨の際における教示文の交付
修正申告等の勧奨を行う場合には、修正申告書等の提出に対して、「不服申立てをすることはできないが更正の請求をすることはできる旨」を説明し、その旨を記載した書面(教示文)を交付します。
教示文の直接交付(交付送達)を行う際には、交付送達の手続として、交付送達を行った旨を記載した書面に署名・押印をお願いすることとなります。
6 更正決定等をすべきと認められない旨の通知
実地の調査の結果、更正決定等をすべきと認められない場合には、「更正決定等をすべきと認められない旨」を書面により通知します。
この書面による通知は、従来の「調査結果のお知らせ」とは異なり、指導事項がある場合でも、更正決定等をすべきと認められない税目・課税期間ごとに通知します。
7 理由附記
更正又は決定などの不利益処分や申請に対する拒否処分を行う場合には、その通知書に処分の理由を記載します。
(注) 個人の白色申告者については、平成20〜25年のいずれかの年において記帳・記録保存義務があった方及び現行の白色申告者の記帳・記録保存義務と同程度の記帳・記録保存を行っている方は平成25年1月から、それ以外の方は平成26年1月から処分理由を記載します。
8 調査と行政指導の区分の明示
納税義務者等の方に対し、調査又は行政指導に当たる行為を行う際は、いずれの事務として行うかを明示します。
○ 法施行前に開始した調査について、平成25年1月の法施行後も調査を継続する場合、平成25年1月以降に実施する調査の終了の際の手続は、運用上、改正法に準じて行うこととします。
(注)1 調査の終了の際の手続は、平成25年1月以降に質問検査等を開始する調査から改正法が適用されます。
2 理由附記は、平成25年1月以降に行われる処分から改正法が適用されます。
3 提出物件の留置きは、平成25年1月以降に提出される物件から改正法が適用されます。
〜 税務代理権限証書の適切な記載と提出をお願いします 〜